May 13, 2018

LTに混沌を持ち込むコーベット

 先に、20数名のトライアウトを勝ち抜けた2名。

TE ジュリアン・アレン Julian Allen(南ミシシッピ) 6-4/235
 もう一人の合格者ジョーンズはルーキーでないため、実質単独の生き残りルーキー。カレッジ通算レシーブ獲得距離は298yd。もうスリーパーかどうかもわからないレベル。

DT レニー・ジョーンズ Lenny Jones(ネバダ) 6-3/270
 2016年のUDFAで、SFを皮切りに、OAK、LAR、DALのプラクティススクワッドを渡り歩く26歳。
 ネバダ。

 ネバダってことで今回はこの方をクローズアップ。

2-33 T/G/C オースティン・コーベット Austin Corbett(ネバダ)
 メジャーなモックではドラフト間近になるまでほとんど名前が挙がらず、直前になって2巡予想がちらほら出てきた印象のスリーパー。いや「スリーパー」ってのもあくまでモック界隈の話で、後々調べてみたところ15チームからプライベートワークアウトないしインタビューのために招聘されており、プロの間ではスリーパーでもなんでもなかったようである。
 コーベットがよく比較されるのは大学の先輩ジョール・ビトーニオで、ビトーニオの指名位置(2-35)からすると特段のリーチでもないということになるが、シニアボウルの練習でC、シニアボウル本番はGでプレーし、この段階でコーベットをTと見る向きがほぼほぼなくなっていたので、個人的には指名の瞬間にかなり面食らったのは事実である。んなもん、御大の後継者候補以外注目するかいって話である。しかも、すでに埋まっているポジションと同じタイプをもう1人連れてきて何しようとしとんのかって話である。

 突然の御大引退というビッグインパクトに打ちひしがれる中でのドラフトだったため、コーベット指名も当然Tとしての指名なんだろう、と当初は条件反射的に受け止めたものであるが、人事担当副社長のアロンゾ・ハイスミスがコーベットの想定ポジションを問われて「”オフェンスライン”。彼ならCだってできる」と答えたところから見方の変更を余儀なくされる。割と本気で「プロではC」と分析するような記事も見かけた。どこにあったかは忘れた。
 また戦略担当ポール・デポデスタはもう少し踏み込んで「LTに定着すればベストだけど、クリス・ハバードも獲得してるし、コーチが判断して最適なラインを編成してもらえばいい」という趣旨の回答を行っている。とにかく残る中でベストのラインマンを選んだ、ということのようである。

 カレッジTからNFL Gはよくあるコンバートだが、Gの延長線上的にCまでこなせる選手となると一気に少なくなる。KCのミッチ・モース(注:ドーシー指名)や某チームのキャメロン・アーヴィなんとかさんは、元々LTだったカレッジ在籍中にCやらせてみたら凄かったというパターンなので少し異なる。
 なおこの「Cもできる」という評価は、ビトーニオと唯一比較されないコーベットの特性ともいえる。つまり、どのポジションでもすぐにエッセンスを理解してしまうフットボールIQの高さがコーベットの一番の売りということでよかろう。

 ネバダ大ではウォークオン入学なるも、ビトーニオの後継者として赤シャツ1年次からLT先発に定着し、卒業までみっちり48試合に先発(うち1年12試合はRT)した叩き上げ。過去2シーズンは、約1400スナップに出場して許したサックが4つ、プレッシャーが3つという安定感の持ち主。ビトーニオとは赤シャツ年に大学で重なっており、一応トレーニングなどで見知った仲だそうである。
 ビトーニオはネバダ大の象徴クリス・オルトの下でプレーしたが、コーベットの先発初年度にHCが交代。ただ、次代HCブライアン・ポリアンがオルトのピストルオフェンスをそのまま残す決断をしたため実質同じオフェンスでプレーしている。この点においてもコーベットがビトーニオに似ているとされる正当な理由がある。
 2人のコンバイン成績をざっと比較してみると:

 ビ 6-4/302 腕33.875 10yd1.68 ベンチ22 3コーン7.37 シャトル4.44
 コ 6-4/306 腕33.125 10yd1.76 ベンチ19 3コーン7.87 シャトル4.50


 コーベットもOLとしては高い機動力を持っているとはいえ、2人の比較だと全種目でビトーニオが上回っており、さらに経験値まで加味すると、素人目線でこの2人を並べた時に、LTにより適しているのがコーベットという発想にはなかなか至りづらい。
 それでもビトーニオがLTに回らないとすれば、その理由は、御大がポッドキャストで述べた「一気に2ポジションを動かすと逆にユニットが弱体化するおそれがある」に集約されるだろう。小生も同様の理由で、昨シーズン中はドランゴをLTとして最後まで引っ張ると予想したわけだが、さてたっぷりキャンプで実験できるオフにどうなるか。それこそ、フットボールIQが売りのコーベットが即座にLGの何たるかを吸収すればわからないのではないか。

 まとめとして先発LT候補の一覧。

1. S.コールマン
 おそらくチーム側から最も名前が出ている候補。
 サイズ的には唯一の”適格”者だが、ずっと御大を見てきてLTはフットワークとバランス命、が刷り込まれている者からすると4人の中で最も不安。もちろん、プロへのアジャストに時間がかかったのでまだ成長が期待できる選手ではあるが。
2. C.ハバード
 機動力は申し分ないようだがかなり小さい。Tとしては小さめのビトーニオやコーベットよりもさらに小さく軽い。
 昨年PITでは、TEのサポートつきでパスプロも安定させていたそうだがアイランドプロテクションは未知数。あと、ゾーンブロックに定評のある選手なので現場のランオフェンスの影響がありそう。
3. J.ビトーニオ
 ハバードのプレーをまだそんなに知らないので単純比較はできないが、LTのことだけを考えればおそらく一番安心できる候補。
 もちろん、いかなビトーニオとて今の段階でLTとしての安定感が確約されているわけではないので、物事の順序として、キャンプ中に後継LGに目処が立つことがコンバートの前提条件となるだろう。
4. A.コーベット
 ビトーニオはG想定で取ったけどコーベットはT想定なのだとしたら、極東の素人ファンが得られる情報の中ではその理由を説明しきれない。「その時のチーム事情」以外の根拠はあるのか。
 つまり、今の段階でコーベットをLTに置くのは「ビトーニオは動かせないから」という消極的な理由しか思い浮かばない。
5. D.ハリソン
 いや開幕はないと思うけど、いずれ期待してますよの意を表明。

***

 とにかく、賢くて機動力があり、2年生から3年間キャプテンに選ばれ続けた人格者であり、LTの可能性もあるリスクの低いラインマンを取った。先発定着、1回くらい補欠でプロボウル(OLのプロボウル選出はアレなので別に拘らんけど)くらいは最低ラインとして見込めそうな期待株。ただやはり、今の布陣でその能力を最大限に引き出せるかは心配。 
 あえてポジションを予想するなら「ビトーニオとコーベットを左に並べる」ところまでは割と堅いと考えている。どっちがどっちになるかは蓋を開けてのお楽しみ。プレシーズン1,2試合あたりで見えてくるだろう。
Posted by karashimentai at 14:52│Comments(6)
この記事へのコメント
カレッジLT→プロCと言うとVikesファン的にはマット・バークですね。
サイズそれなりで機動力もパワーもそれなりに有りましたけど、とにかく相手DLのラッシュパターンを読むのに長けてたタイプでしたけどね。
隣にビトーニオが居るコトを考えるとOLユニットとしては可能性がかなりあるのではないでしょうか?
ランO#にパスラッシュの牽制になるぐらいパンチが求められますけど。
Posted by ニシ at May 13, 2018 17:57
オフェンスラインは御大引退後、ずっとどうするのか分からないくて、コーベット指名でさらにわからなくなりました。フロント側も定まってない様子なんですね〜

とりあえずはタイロットの走力でしのいで、来たるべきメイフィールドデビュー迄にユニットを仕上げていくという事なんでしょうが、確かに不安ではあります。
まぁ御大の後釜なんてそう易々とは見つからないでしょうけど、今のメンバーでしれっと見つかってくれればいいなぁと。来年のドラフト1巡指名はOLってならないようにしてもらいたいです。
Posted by くうた at May 15, 2018 05:41
ドラ2で取ったからには、先発定着を目論んでいるものと思われます。シュヲーツだって、ヴィトーニオだってそうですし。あれ、誰か忘れてるような気もしますが…
LTをコーベットにし、RTをコールマンとハバードで争い、ラン重視にするあたりが現実路線かも
Posted by kirk12 at May 15, 2018 13:35
コーベットはCでも良いかもと密かに期待しています。
Posted by コリンズ推し at May 15, 2018 18:03
御大の2ポジションを同時に動かすとユニットの弱体化につながる…、という発言ですが、ものすごく説得力がありますね。mentaiさんの毎年一人OL指名しろよの考え方にも合致している気がします。
御大引退の影響ができる限り少ないことを願うしかありません。
Posted by vinta at May 16, 2018 08:49
>ニシさん
笑瓶兄やんもそうでしたね。
今季はともかく、今いる若手の成長や来年のドラフトの流れ次第で、いずれCもありそうな気がしてきた…

>くうたさん
ピュアTタイプの指名になると思っていたのでコーベットは意外でした。
タイロッド&ベイカーのQB陣でショートパス重視と思いきや、ヘイリーはバーチカルを捨てないなんて情報もあり、
深いポケットを作るなら今年ほど御大の能力を活かせたはずの年はないというw

>kirk12さん
いきなり固定するのか、1年目は様子を見るのか、といったところが注目になりそうです。
OTAではありますが、早速2ポジション(LTとLG)で試しているようですね。

>コリンズ推しさん
ジェームズ・ダニエルズをスルーしたのが引っかかっていますが
今年はコーベットの適性を見るシーズンで、場合によっては来年Cも視野に、という路線はあるかもしれませんね。

>vintaさん
インテリア3人については「2年目の継続効果縛り」があるので、ビトーニオを動かす予想を強く推しづらいです。
とはいえコーベットをLTとして指名したとも考えづらく、何とも先行きが見えないのがまた楽しw
Posted by mentai at May 25, 2018 12:25