May 14, 2016

2016ドラフト結果論(4):スプレッドOL二丁

 どうも、今週ワッパーを計12個も食べてしまった者です。
 では楽しい楽しいオフェンスライン話。

前段
 弊留置場で取り上げるのはジェイソン・ピンクストンの時以来か、その後立派なウェブサイトを立ち上げ、オフェンスラインの御意見番的位置に立とうとしている“ルチャブートキャンプ”の総帥ルチャールズ・ベントリーが、こちらの記事にてSコールマンの個人評価を行っている。これが、コールマン評としてのみならずOL全般的なNFLへのアジャスト話として興味深い記事だった。
 興味深い一点目は、スプレッドオフェンスのOLはNFLで必要なブロッキングが身につかない、と述べていること。スプレッドオフェンスの定義が使う人によってまちまちという問題はあるが、ここでルチャが指しているのは主に2ポイントスタンスのことと思われる。
 二点目は、全般的な傾向として、OTがサイドチェンジして最高のパフォーマンスを出すまでには利き手を変えるくらい時間がかかる、と述べていること。要するにサイドチェンジするなら最初は不安定だよと。そういえばシュウォーツは「右も左も同じだよ」と嘯きながらも、是が非でも引き止めたいほどのRTになったのはようやく4年目であった。
 コールマンもドランゴもバリバリの“スプレッドオフェンス”出身、しかも左から右へのサイドチェンジを余儀なくされる候補、という共通点をベースに以下を進めてまいります。


3-77 Tション・コールマン(オーバーン) 6-5/307
 【コンバイン等結果】 http://www.mockdraftable.com/player/5122/

 2年間の白血病との闘病生活に打ち勝ってフィールドに戻ってきた25歳のオールドルーキー。2013ドラフトで、彼は指名選手を読み上げる役目で会場に立ち、今はなきセントルイス・ラムズの1巡指名を読み上げた。
 上リンクのルチャ評で「足首の可動域が狭い」とか「臀筋が弱い」とか、専門的見地からの分析の部分はあまりピンと来ないが、それよりも、ルチャともあろう専門家が「3巡は超バリューになり得るツールを持っている」とお墨付きを与えた点が最も重要である。

 WRリカード・ルイスの項でマルザーンオフェンスのランヘビーに触れたが、もっと特徴的なのはランが多いくせにOLが2ポイントスタンスなことである。NFLでのOLの2ポイントスタンスは、明らかなパスシチュエーションでは見られることもあるがベースで使っているチームは皆無。「常時パス」でおなじみエアレイドを採用している現在のワシントン州立やキャルなどは2ポイントだが、それ以外はカレッジでもマイナーと思われる。
 オーバーンの場合は、売りであるハリーアップオフェンスを円滑に展開するために採用しているんじゃないかと推察されるが、ランヘビーなうえに2ポイントだと「NFLに適用できるパスプロ」を行う機会・経験が極端に少なくなる。
 2014ドラフト全体2位指名のグレッグ・ロビンソンがこの2年苦戦しているのは、この2ポイントから3ポイントへの移行のせいともいわれており、同じことは当然ション君にも当てはまる。
 つまりションは、ロビンソンが苦戦している2ポイントから3ポイントへの移行に加えて、左から右への移行という二重のアジャストメントをクリアしなければならない、ということになる。


5-168 Gスペンサー・ドランゴ(ベイラー) 6-6/315
 【コンバイン等結果】 http://www.mockdraftable.com/player/5172/

 ドラ5のドランゴ。
 ハイ、これでみんなもドランゴが何巡指名だったかを10年後も忘れない。めでたい。
 丸4年の先発経験。赤シャツ1年生の開幕戦から、ケガで欠場した4試合以外は全てLTで先発。2年連続でBig 12ベストOラインマン。
 個人的には、昨年アーリーエントリーしてたらドラ2までに指名して欲しかったくらい気に入っていたラインマンで、事前にピンポイントで希望していた選手の一人がここでようやく指名された形である。
 ただドラフト進行中は、ションが指名された時点で一旦消した。OL2枚はあると思っていたが、それをするなら確実に「GもできるC」が1枚入るだろうと思っていたから、こういう抜き方をするとはつゆ思わなんだ。

 パワーも機動力も特に秀でたものはないが、最後までブロックをやめない、いやらし系のブロッカー。シリーズその1で紹介した通りベイラーはインサイドゾーンが多く、エッジを放置するアサイメントからLTもおのずと内側のディフェンダーをとりにいくブロックが多くなるが、それでもエッジラッシュには無駄のない動きで対処する。ただ、動き自体が機敏なわけではないのでクイックネスのあるパスラッシャーが苦手と見受けられ、孤立したパスプロになると左右に振られて内側から抜かれるシーンが多い。
 このへんが「G向き」の評価につながっていると思われるが、個人的にはRTで十分いける、否、スタート時点ではSコールマンより先行しているかもしれぬ。ルチャ記事に忠実に予想を展開するならば、ベイラーは3ポイントスタンスなので、ションと比べて2ポイントからのアジャストが不要なぶん序盤の成長カーブが優秀な可能性がある。それに、そもそもカレッジトップレベルでの試合経験が申し分なく、伸びしろよりも完成度タイプなのもポイント高い。
 ハナっから「RTの先発はションで控えがドランゴ」と高を括っていると痛い目を見る。別に痛い目は見ない。

 もう一つドランゴに期待している点として、彼はリクルート時(高校最終年)の公称サイズが6-6/264であった。高校生とはいえ全国区のOLプロスペクトとしてはかなり細い。つまりドランゴは太りながら試合経験を積んできた。個人的にベストシーズンと思っている2014のシーズン中は305ポンドだった覚えがある。それが昨年は320ポンド超え。
 といった経緯を踏まえて、ドランゴのベスト体重は2014シーズンのそれと信じているから、もしコンバインの315ポンドが意図的に絞った結果であるら大いに期待したいところである。体重増と、プレーヤーとしての成長がずっと比例関係できて、昨年はついにその比例関係が崩れただけという仮説。これから再びベストな状態を探っていく準備がすでに始まっているのであれば、意外に速くプロでも活躍できるかも。


補強の傾向
 オーバーンにベイラーという、2つの代表的ランヘビーチームのLTを指名。
 エアレイド系にせよオプション系にせよ、常時ショットガンなスプレッドオフェンスにはポケットの形を意識する概念があまりない。スプレッドオフェンスからのアジャストが大変なのはQBとOT、といわれる所以の一つであろう。そのうえランヘビーときたら、もはや「元LT」の肩書なんて無意味も同然。意味があるとすれば「チーム内のベストラインマン」としての記号程度のものか。
 マック、シュウォーツというテクニシャンが抜けて、代わりに入れたのはFAのベイリー、そしてションにドランゴと、所謂マウラー(mauler)ばかり。OL補強こそが、今のところ最もヒューオフェンスの方向性を示唆するものといえるかもしれない。
 加えて、QBはどう考えてもバーチカルアタックなんてできないケスラーで、UDFAではトリプルオプションFBを確保。さてさて何をやろうとしているやら。
 ポケットの重要度が低下するオフェンスを構築するつもりなら、御大は高く売れるうちに売って御大にもプレーオフを経験してもらうという発想も、感情は抜きにして理解できないでもない。そういった怖い想像をも掻き立てるT2枚指名である。

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この記事へのコメント
RGIIIがハマれば、来年を考慮すると最高のドラフトになりますね。PHIは弱いはずだし。RGIIIは怪我さえ治ればフランチャイズになれるので、買い物としては素晴らしいと思っています
ゴードン(しつこくてすいません)がどうなるかは早く決めて欲しいです。RGIIIは楽になるでしょう。ニュースも全然無いので、進んで無いんでしょうね。
Posted by くろたん at May 15, 2016 13:14
今はなきセントルイスラムズで草不可避
グレッグ・ロビンソンは今年ブレイクするから(震え声

ブラウンズの今年の動きは興味深いですね
あと夜勤明けに人生初ワッパーは重過ぎでしょうか
Posted by SLEEP at May 16, 2016 20:52
>「足首の可動域が狭い」とか「臀筋が弱い」
大相撲の力士で言うなら千代大海タイプですな。
彼はプライベート・トレーナーを雇ってフィジカルトレーニングに励み、実際相当なパワーと運動能力がありましたが、足首の硬さが災いして出足の馬力が相手に伝わらず空回りする傾向があり、臀筋の弱さによって脚を掻く際には腰部の背筋に過剰な負担を強いて腰痛に繋がっていたと思います。
まぁ基本裸足で蟹股、足を外側に向けて開いて踏ん張る相撲と、クリーツの付いたスパイク履いて、スクエアなスタンスで脚を掻き続けるフットボールとでは、運動のメカニズム自体が大分違いますけども。
Posted by Liger at May 19, 2016 17:15
>くろたんさん
ゴードンまだですねえ。
もう今年はRGIIIなんだと割り切ってみると、だいぶ楽しみになってきましたw

>SLEEPさん
ロビンソンはまだまだこんなもんじゃないでしょう。
ワッパーの主役はトマトとレタスなので、夜勤明けにはぴったりでしょう(嘘

>Ligerさん
千代大海=ラリー・アレン、ってことはG向きかw
不安定なイメージでTには困る比較ですねえ。
Posted by mentai at May 22, 2016 11:38