May 09, 2016

2016ドラフト結果論(3):3-4/4-3システム論の終焉

 まさかの大型パスラッシャー連続指名。もはやブラウンズで、標題の発想で指名予想を展開するのは無意味となった。ジョーイ・ボサはシステムを超越してる存在だと思っていたから欲しかったけど、2巡3巡に来てもやるかと。

2-32 DEエマニュエル・オグバ(オクラホマ州立) 6-4/273
 【昨季成績】13試合63タックル 16.5ロスタックル 12.5サック 4TD 3FF 1FR
 【コンバイン等結果】 http://www.mockdraftable.com/player/7422/

 「オグバー」は1本満足バーみたいなので横棒を取ることとする。
 全体32位指名。トレードオファーはいくつかあったようだが、ダウンしなかったのは、いい条件を引き出せなかったことよりも、オグバをみすみす見送るわけにいかなかったと。
 本人曰く、ワークアウトを行わなかったのでブラウンズは全然頭になかったそうだが、ブラウンズボードでは密かに1巡中位だったそうである。また、DALがパクストン・リンチ獲得失敗後にトレードアップでオグバを狙ったとの話もある。それほど涎が止まらない素材なのは間違いなし。

 コンバインで最も目立ったフリークの一人。ガタイの良さに加えて腕の長さも抜群、40yd4.63、初速1.59は全エッジラッシャー中のトップタイ。プロデーに至っては40yd4.58まで伸ばしたらしい。よってパスラッシュはブルもエッジもいけるクチ。テクニックなどなくても初期装備で2種類持っているのはパスラッシャーとしてのアドバンテージであろう。
 ただし問題はここからで、インサイドラッシュは全くといっていいほどかからない。フェイクでブロッカーの裏をとるテクニックが身についていないらしいが、そもそも3コーンやショートシャトル等の体重移動系も平凡な結果で、要するにクイックネスは不安と。これがボサとの根本的な差その1。
 ボサとの差その2は、さらにヤバい対ラン。モックでも3巡下位くらいまで振れ幅があったように、リスクが大きいとみられた一番の要因でもあろう。めちゃめちゃ足が長いため基本重心が高いせいか、ランブロックには容易にコントロールされがちで、オフェンスが使わないレーンにあっさり押し流されて終了。
 大本営のスカウティングレポートで「手を抜きがち」という評価があったが、小生が限られた動画視聴から勝手に想像するに、ランでは本当に制圧されているだけで手抜きではなく、単純に安定感がないという表現でよろしいと思う。どっちがいいのか悪いのかは別にして。ちなみに練習熱心で非常にまじめな性格との由。

 てなわけでまずはニッケル限定、それもDTに動かすようなこともあまり考えず、ひたすらエッジからアタックさせる、新人年のオールドン・スミスやブルース・アーヴィンのような起用法がよさそう。3-4でのポジションを無理やり当てはめるならOLBなんだろうけど、パスカバーなんてほとんどやってないだろうし、ベース守備での使い方はよくわからないので実際にラッシュ限定採用かもしれない。
 なお、個人的にオグバ指名を全く考えていなかったのは、絶対4-3採用チームに行くべきだろと考えていたことに加えて、あまりのバスト臭に耐えられなかったからでもある。この指名が「実質ドラ1オクラホマステート」であることもブラウンズファンとしては不吉である。
 9歳の時にナイジェリアから移民。父親が牧師だった影響、と本人は言っているが、悪い連中に染まらずまっすぐに成長してきたそうで、素行の問題はなし。インタビュー動画を見ても好感の持てる青年なのでしばらく様子を見る。


3-65 DE カール・ナッシブ(ペン州立) 6-7/277
 【昨季成績】 10試合46タックル 19.5ロスタックル 15.5サック 6FF 1INT 1PD
 【コンバイン等結果】 http://www.mockdraftable.com/player/7352/

 昨年のFBSサック王(15.5サック)。しかもたった10試合で。オグバと合わせると実に28.5サック。昨年のブラウンズがチーム全体で29サック……というネタは、自虐でメシを食うクリーブランドメディアがさんざんやっているものである。
 最終年まではチームの先発ですらなかった。入団時、当時のビル・オブライエンHCに「ちゃんと学位とれよ。貴様にNFLの望みは薄いかんな」と釘を刺されたそう(まあウォークオンなんだから当然といえば当然だが)。
 そこから這い上がってこの指名位置である。全体練習の前後にひたすらウェイトルームに籠り、カレッジのトップレベルに追いつこうと努力して見事に達成した男が、今度はNFLレベルに追いつこうと努力して達成できない法があろうか。それは結構ある。

 同じパスラッシャーでもオグバとは根っから異なるタイプである。単純な置き換えってわけでもないだろうが、契約的に次のオフ(もしかしたらこのオフ)には間違いなくカットされるであろうクルーガーの枠に入るのがオグバで、D.ブライアントの枠に入るのがナッシブ、という見方でだいたい合っていると思う。だからベースDでの起用も考慮して、ナッシブにはできればあと10ポンドくらいのバルクアップを希望。フレーム的には十分いけるはず。
 パスラッシャーとしては、最短距離で回って超絶リーチを生かす安定感のあるタイプ。軌道もスムーズに見えるしインサイドの動きもあるので、カレッジのようにサック量産とはいかずともQBのミスを誘発するおじゃま虫としてのポテンシャルは高い。
 エッジでもよし、ニッケルDTの位置からハエ叩きでもよし、ゾーンブリッツで下げてもよし。ファーストダウンでランブロックを止める重さを身に着ければ文句なし。彼がハイブリッドフロントの要になってくれたら今後の補強がだいぶわかりやすくなるに違いない。


 昨季、NFL全体で、ニッケル(ダイム)フォーメーションが約63%だったそうだが、ニッケルが増えてきたのは去年にはじまったことではなく、傾向は数年前からあった。何よりブラウンズでも前任ペティンが「ベースはニッケル」と公言していた。
 パスハッピーに対応するため、3-4ベースからいかに4-2-5に移行できるかを追い求めた結果ハイブリッドフロントが完成し、3メンフロントも「4-3UnderからREを立たせただけ」のようなものが増えてきたようである。
 ただ、3-4採用チームで、ここまで明確に議論の終わりを宣言した指名はもしかしたらブラウンズが初か。今までのアプローチならこの二人は完全無欠の4-3DEであろう。
 自チームが3-4Dであることに拘ってたらこれは予想できない。ブラウンズフロントの思考は、DTなら1ギャップか2ギャップか(NTだけは別)、パスラッシャーなら純粋に目に見える実績を残しているか否か、に絞った考え方に切り替えないと今後も盛大に予想を外すこととなろう。
 どうやら今季は、
  オグバ Dブライアント クーパー ナッシブ
 あるいはさらにパスラッシュに特化して
  オグバ Dブライアント ナッシブ クルーガー(オーチャード)
のフロントで相手のご機嫌を伺うようです。もはやこれがベースか。これがベースだとするとクルーガーいらんってことになる。クルーガーは開幕するまで安心できないな。

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