May 28, 2014

マンとゾーンとギルバート

 いつか「犬でもわかるNFLドラフト」みたいなシリーズをやりたい。5,6回程度で。
 そもそもNFLを経ずしてドラフトには漂着してこないから、アメフトやNFLの基本を省けるところがやりやすそう。

 ジャスティン・ギルバートは、パトリック・ピーターソン以来のアスリートCBとの評判。しかしバスト説も決して少なくない。先日新宿で開催されたドラフトを振り返る会でもそんな話が出た。しかも小生も、ギルバートとどっちかをとるならダークエズ・デナード派であった。

 そんなこんなでギルバートを見直すにあたり、まずマンカバーとゾーンカバーについて少し。
 マンカバーは特定選手にぴったりついていくカバー、ゾーンカバーは決められた自分の持ち場(ゾーン)を守るカバー、というところまでは多くの人が知っているように思うが、そこから先、CBに求められる能力についての具体的な話。ほぼ遊びみたいなアメフトしか経験していない身にとってこういう技術的な語りを入れるのは気が引けますが。

マンカバーCBがやること
 速くてすばしっこいマッチアップ相手にぴったりついてとにかく離されないこと。他のことはほとんど気にしなくていい代わりに、マッチアップ相手にパスが通ったら100パーの責任を負わされる。
 ディープボールなんかは、レシーバーの視線と捕球動作でパスが来ているのを察知することになるため、QBにケツを向けても全く差し支えない。
 守り方としては、レシーバーを常に外側に置くようにカバーするのが大原則。内側の広大なスペースで動き回られるよりも、サイドラインの存在で相手の動きが制限されたほうが守りやすいのと、パスを常に「自分越し」にするため。よってフィジカルの強さなりスピードなりでポジション争いを制す能力が重要。

ゾーンカバーCBがやること
 自分の持ち場に入ってくるレシーバーは当然気にしつつも、QBの動きや視線を読んで反応することが第一。ランプレーへの反応も要求される。よってゾーンCBが目を離したらいけないのは、レシーバーではなく相手QB。
 サイド際のゾーンを守るCBは、マンカバーとは反対に、外をより警戒し、目の前のレシーバーをなるべく内側に誘導して「ゾーン」を実質的に狭くしつつ、(QBを見ている)自身の視野内に収めておくことが基本となる。パスへの反応が早くなるのでINTを量産しやすい。かつて10INTを決めたタイ・ローもアサンテ・サミュエルもゾーンの名手。
 また「Sもいけんじゃね」など、Sへのコンバートが語られるCBは一般的にこっちのタイプ。

 全チームがマンとゾーンの併用だから、求められる能力はもちろんあくまで比重の問題。

***

 そして今年のブラウンズが求めるCB。
 ドラフト指名直後、ジャスティン・ギルバートにかけたペティンの第一声は「さあ、プレス・マン(カバーディフェンス)やるぞ」だったそうである。

1-8 ジャスティン・ギルバート Justin Gilbert(オクラホマ州立大) 6-0/202
 40yd:4.37 垂直:35.5インチ 立幅:10’6’’ 3コーン:6.92 シャトル:4.30


 カレッジでの実績には波があり、2年生時に5INT15PDと活躍するも、その翌年は0INT。一年前ドラフトでは特に注目を浴びることなく迎えた最終年に7INTの活躍、そしてコンバインを中心としたオフシーズンでの評価急上昇で止めを刺し、めでたくCBトップ指名と相成った。

 6-0の身長は平均やや高め程度ながら、腕の長さはトップクラス。また、あんまり重要ではないけど密かにベンチ20回と優秀な成績を挙げており、プレーの細さもない。そして、げにおそろしきスピードの持ち主。キャリアで6TDを記録しているキックリターンの名手でもあり、このあたりもパトピーと比較される所以だろう(パトピーは主にPRだけど)。
 確かにパトピーと遜色のない運動能力であるにもかかわらず、2011ドラフトで、個人的にパトピーに対して抱いたほどの昂揚感はなかった。理由は、ざざっと見た感じ、彼が所属していたカンファレンス(Big 12)で特に顕著なエアレイドオフェンスへの対策ってこともあるのか、クッションの大きいカバーがやたら多いためだと思う。タイトめにセットしてもすぐ下がる。
 クッションが大きい選手が(ドラフティーチェック的に)厄介なのは、そもそもマンとゾーンのどっちタイプなのかがようわからんことである。何せバックペダルもバンプ&ランも確認できないので、スナップ直後のスキルが見えない。この点はデナードやフラーに軍配が上がると思う。
 ただ一つだけ、好意的に見直してみたところ、間違いなく今ドラフトナンバーワンと思える能力がある。ディープの1 on 1。WRの本来のルートを先に走って、位置取り合戦をスピードで制す。半歩遅れても高さと跳躍力とリーチでボールに届く。後ろ向きでほとんどとれない視界からしっかりボールを掴む。一部のINTは振り返ってなさ過ぎて、完全にレシーバーの挙動のみから読み取っているのでは、そういう能力が備わっているのではと期待させられる。対ディープボールは鉄壁である。これを生かすならマンカバーで使うしかない。ペティンはカバーゼロをガンガン入れるつもりであらふ。

 インタビュー動画はとても好感度高し。ジャニーズかと思うルックスをさて置いても、話し方も丁寧で知性があり、笑顔を絶やさない。汁に対して「ブラウンズファンは最初俺の指名に批判的だったけど、汁が来てくれたお陰で批判が和らいだよ」と笑いながら感謝したらしい。

 ギルバートが素材型と認めながらも「素材の時点ですげえことになっている素材型」であり、晴れて長期残留が確定したジョーヘイ兄やんから技術を伝授されればとんでもねえCBになる。
 起用法は兄やんのルーキーシーズンに倣い、開幕は第3CBとして、ニッケルでは対ワイドアウトにセットしながら慣れてもらい、シーズン後半から先発を掴んでもらえれば御の字。新人兄やんより完成度は低そうなのでもう少し遅くても文句は言わない。でもバスターがグズグズだったら文句言う。

 以上、このピックはじわじわ来ております。翌年ドラ1も持ってきてくれたし。ステフォン・ディッグスいらっしゃい。

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この記事へのコメント
自分はギルバートがNo.1だと考えてました。ギルバートが凄いというより、デナードのカバーが甘い時があるためだったのですが(^^;;
ギルバートのディープの対応は凄いですよね羨ましいです。うちのお調子者も狙っていた可能性がありますね(煙幕でしょうが)
ロビーも素材型ですが、ギルバートの方がはるかに羨ましいです>_<
DENの試合の時だけは情けをかけて欲しいです!
Posted by K猫 at May 28, 2014 21:23
10Intで思い出したんですが、ルーキーイヤーに10Int稼いだアンソニー・ヘンリーもゾーンカバーが得意なタイプだったんですかね。
そういえば確か、ドラフト直後に調べた際「SもいけるCB」みたいな評価をみた記憶があります。

当時は今以上にアメフト素人だったもんでInt数=CBの評価くらいに思っていて、リーグトップタイのInt稼いだルーキーがなぜディフェンス新人王じゃないのか解せなかったものです。

なお、カイル・フラーの兄コーリー・フラーが、あの頃ブラウンズにいた人だとさっきまで本気で思い込んでいたのは内緒です。危うくしたり顔でココに書き込むところでした。。。
(…いやその、磯野家のようなおうちなのかなって。。。)
Posted by masaru_0 at May 29, 2014 00:05
NFC西的にタイムリーなシャットダウンコーナーのお話ですね

PrimeTimeにCBってポジションを教わった世代としては、やはりシマを作れてこそCBって感じなので、Twin Islandsなんて見出しが踊ることを期待しております。
Posted by pappy at May 29, 2014 04:50
ギルバートといい、デシールといい、CBは完全なペティン枠という感じですね。来年のCLEディフェンスは期待大ですね。…一部手当てがされてないっすけど。
マンとゾーンの違い、勉強になりました。これまで知らなかった話しでお恥ずかしい限りです。
是非ともアイランド形成者として名を成して欲しいところです。
Posted by ティティス at May 29, 2014 12:29
>K猫さん
まあロビーよりは活躍してくれないと困りますが。
デナードとの比較はこれから嫌でもすることになります。なんで同地区行くかなあ…
選手として完成する頃にDENと当たりそうですねw

>masaru_Oさん
ヘンリーはモロにゾーンCBでしたね。私もあの年はなんで守備新人王じゃないんだと憤りましたw
実際に今でも、そういうわかりやすいスタッツでプロボウル出たりしますからねえ。
先発じゃなかったのが響きましたかね。

>pappyさん
今回のエントリは、あれに間違いなくインスパイアされています。
シャーマン発言は純粋にアメフトファンとしてチェックしてしまいます。

夫婦島だなんて夢が広がるなあw

>ティティスさん
私もコーチの受け売りなので威張れるものではありません。
選手の教本などに出てきそうな話なので、普通に試合を楽しむ分には不要な知識ですが、むしろドラフト趣味に有用かもw
Posted by mentai at May 30, 2014 23:28